埋葬/一筆
 
息をしなくなったおまえを
かたわらにそっと置いて
土を深く掘り返す
樹の根
固い石
そんなものをひとつずつどけてゆく
おまえの眠りをさまたげるものが
ひとつでも少なくなるように
無意味な行為だと知りながら
穿たれた穴の土は黒く
横たわるおまえを静かに寝かせて
かぶせる土の重さに耐えかねて
おまえが叫びはしないかと
哀れな期待を滲ませて
最期にじっと顔を見た
閉じられたまぶたはそのままでも
眠りとはあきらかに違うこわばった唇
大きく息を吐いて一気に土で埋めた
季節の花を手向けても何の意味があるだろう
この空の下におまえはいない
特別なことではなくあたりまえのように
今もこれからもずっとおまえを失ったまま

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