HOUSES OF HOLY。/田中宏輔
いうのか●声に出していたのかどうかというと●記憶にはない●ただ●けさのように●自分の叫び声で目が覚めるということは●しばしばあったのだけれど●なにが怖いって●家族でそろって食べる食事の時間が●いちばん怖かった●一日のうち●いちばん怖くて●いやな時間だった●ほんのちょっとした粗相でも見逃されなかったのだ●高校に入ると●柔道部に入った●クラブが終わって●家に帰ると●すでに●家族はみな●食事を済ませていた●ぼくは●ひとりで晩ご飯を食べた●そうして●小中学校時代には怖くていやだった食事の時間が●もう怖いこともなく●いやでもない時間になったのであった!
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