書かなかった手紙の受け取りかた、届けかた/秋葉竹
早朝の
すこし肌寒い街で
みあげると、
風が、
空高くに吹くから
書かなかった手紙が
やさしい透明色の紙で
空高く、
揺蕩っているように
感じるんだ、
そこから地表へと、
送られてくる風には
だからかすかな柑橘系の
香りがしているのかもしれない、
そんなものほんとうは、
ただの幻臭なのかも
しれないけど、
私はあなたのことを
想っているときは
きっと
甘くて酸っぱい香りを吸っているから
この
すこし残酷でうすら汚れた街でも
ちょっと、うんざりしながらでも
前とか
あしたとか
光とか
希望とか
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