快晴反慕情/トノモトショウ
 
指先の回想は 罪深い引力で 灰皿に落ちる 水色吐息の癖
傷心なら午睡 幸福なら沐浴 存在さえ咀嚼 虚無すら消化
禁欲を徹底し 放蕩を覚えよ 賢者か砂塵か あるいは詩病
嬌声の縮図は 冒涜を孕んで 雑巾の刺激臭 歯並びも悪く
鳩の腐乱死体 物真似る青空 恥人の哀から 黒猫の愛まで

釣鐘の悲劇音 共鳴を待たぬ 俗物に焦がれ 苦虫を踏んだ
灼熱かららと 分かち合えば 生焼けの金魚 鰓呼吸の再来
昨夜も同様に 積木で遊んだ 蛍光灯に溺れ 麻酔を打った
脈動という身 生者の行進も 嘘っぱちだと 偽物だと哄う
そろそろ時間 輪舞の時間だ 墜落から五秒 いや十秒も可

操作不在の性 新陳代謝の妙 毛玉に満ちた 修飾語へ敬礼
連れ連れ輪廻 揺ら揺ら慕情 独りよがりの 美意識だった
睫毛に触れる 石綿の発火や 疲労の契約や 机上の空論や
鰯雨から曇天 太陽は泊まり 不躾な筆圧が 紙礫を埋める
どうかどうか 侮蔑を期待す どうぞどうぞ やりたい放題
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