新しい風景/秋葉竹
 

  

上り坂を
歩いて来たかと想ったが
ふと気がつくと
目の前には
さらに傾斜のキツい
坂が
まるで
壁みたいに
立ちはだかっている

アイダノコイダノ
ほざいてたころが
とても幼い
夢の中の世界のふたりだったと
想う

カワイイダノキレイダノ
これから迎える
壁にも視える
キツい坂の前では
まるで
なんの意味も持たないと
知ったから

ただそんな不味い砂利
噛み締めながら
捩じ込むように
ちいさな幸福の穴をみつけて
すこしでも
大きくしていくとして

なにもないんだと
なんの楼閣も
築けやしなかったと

あとは
後悔を
することだけは
流石に美学に反するので
やめておいて

神さまに
すがりたくなる
心も
ギューッと
抑え込んで

ただ
生きるための
息を
し続けてゆく

たとえば
息を
ひそめながらでも






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