ある世界の文字/秋田の米はうまい
文字が制限されてしまった
この世界では
一日のうちに
読める文字数が
決まっている
大好きな本も
一日でたった5行しか読めない
ひとつひとつの文字を
愛おしく
何度も何度も眺めて
噛み締めて
一つの単語から
溢れる形象のそれを
想像の世界を
膨らませて
その言葉が
細胞の隅々にまで
沁み渡るまで
眺めている
文字は
憧れ
夢
世界
何万年という
宏大な時間
今まで生きてきた人の
たくさんの人の
感情も
生活も
歴史も
全てが含まれている
文字を読む
贅沢な時間
それだけでいい
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