判決/暗合
 
僕を返してくれ。もうどんな価値だって、みたくないんだ。傷だらけで、光を反射することが出来ない。闇の中に溶けたままで、あなたは僕を飲み干す。手を口の中に入れて、胃の中に隠しもっていた判決文を読んでみると、もうクラクラして立っていることすら出来ない。意志の力を信じてはクタばるだけだ。「光っている、あの的に、矢を射つのよ。」真っ直ぐ。僕を貫いた。ネチネチする、世界が皮膚にへばりついている。ジュクジュク心臓に向かってくる、青い海。ドクドク息をしていたら、昨日のご飯を戻してしまう。降ってくる黄色い胃液と僕の瞳の中に住んでいた君は逃げた。白い空白。僕は少しずつ汚していこうと思っている。

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