爆発/暗合
 
撃ち殺した。どんな顔をしていても、頭が爆発すれば、いつもと同じ景色だ。白と赤と黄のカラフルな甘い飲みものを地面に撒き散らした。鼻の奥まで甘い匂いがする。でも僕が法的に裁かれることはないだろう。ここは頭蓋骨の中の世界だから。
 きっと僕はこれまで意味のないことをやり続けていたのだろう。空を見ると、遠い青が我々を知らない場所へ追いたてる。天球がまるで卵の殻のように見えた。満員電車の中、隣の中年男性の吐く息を吸う僕は何も持たないガキだ。太陽は真空の塊だ。あまりにも眩しいから誰も気付かないけれど少しづつあの巨大な真空は我々の生活を浸食して、いずれ僕は何も話せなくなるだろう。それなら笑って死んでいける。死ぬときに、「僕を忘れないで」なんて言わずに、余計な後悔を抱かずに済むから。でも実際、僕のことを誰も覚えてはいないだろう。それはそれで、とてもやりきれない。

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