ハッジズの野望(五)/朧月夜
この世界において、戦いはまずは魔導から始まる。
最初は召喚獣を率いて、前線を突破することが常道なのである。
しかし、アースランテはその常道を覆した。
敵の魔導士たちを、弓矢によって打倒し、その魔力を封じたのである。
カガイデの丘は、ファシブル軍の屍によって埋め尽くされた。
その標的となったのは、主に魔導士たちである。
ハッジズ・ア・ラ・ガランデは、戦いは魔導のみによっては、
決しないということを理解していた。そして、
二万の軍勢を一万五千にまで削ぐ。ファシブル軍は魔物を召喚したが、
アースランテの軍勢のほうが、有利に事を進めた。
この二年の間に、アースランテ軍は決死の覚悟を決めていたのである。
例え己が命を犠牲にしたとしても、という覚悟がアースランテ軍にはあった。
そして、ハッジズは、満を持して召喚獣を召喚する。
幽冥界グリンディアのデーモン、ラーディガンを呼び寄せたのである。
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