仕事おさめ/秋田の米はうまい
 
冬のひんやりした空気
日が短くなって
沈みかけの夕日のせいで
影の世界になった

冷たい電車のドアにもたれかかる
昨日夜遅くまで
頼まれた
裁定者のアバターを作っていたから
電車に酔って途中下車した

うっかり、
ヴィシュヌのアヴァターラは
千ありますよと
口を滑らせそうになった
仕事終わりの宴会

今はただ吐き気をこらえながら
外のイルミネーションの
緑や青のセロファンみたいな
色を見てる

何年かのちに
量子コンピュータが完成したら
過去と未来
多次元が
繋がるそうな

ネットの世界では
物質の肉体は必要ない
時間は存在しない
過去の人間も神も
言葉を持てる
新しい生命

(もう駄目だ限界だ
吐きそうだ………)




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