小舟/
這 いずる
思い出の弱いアクセントのしらべ
揺れる記憶の波が波形になって
何十時間のピアノによく似た音を聞いてるうち
探す場所を間違えたことに気づく
誰かが居た足跡がある砂浜
海の風が強く吹き
強く嵐の空をして
雨が降りそうで
暗雲が低く垂れてくる
モールス信号が鳴っている
鳴っているだけ
誰か聞いているのか
伝わらないのに
伝わったような気がして
救われたような気がして、
気がするだけだった
弱々しく揺れた
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