イリアスの矜持(八)/朧月夜
「あなたには一つの弱点があります。祭祀(ドルイド)クーラス。
それは、あなたがわたしを十三歳の小娘だと思っていることです。
わたしは、数々の秘密の教えを受けてきました。
アースランテの国を、正道に戻すための教育です」
「なんと? 貴女は自分の出自を知っているのですか?」
「父は、わたしを王家から隠しました。
いずれ、アースランテの王家は滅びると思っていたからです。
そして、わたしは、決断ということを学んだのです」
「ほほう。決断ですか。それは良い覚悟です。
貴女は、自らの死をも恐れないと言うのですね?」と、祭祀クーラス。
「わたしにとっては、どうでも良いことなのです。貴女の生も、死も」
イリアス・ナディは一瞬息を飲んだ。「この男は本気だ」と。
「グーリガン様、アイソニアの騎士を、あなたは殺すのですか?」
「さあて、どうでしょう。それは、貴女と彼次第だとだけは、言っておきましょう」
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