現代詩百年の孤独/藤原 実
 
とっての詩の効用である

むかし
まだインターネットではなく
パソコン通信をはじめたころ
現代詩フォーラムというあつまりをのぞいたら
現代詩とはなにか
とヘンなひとたちが議論していた
百家争鳴
決着はつかず
もう現代詩手帖に載ってるような詩が現代詩
という意見まで出た

だが
つまらない現代
に適応するためには
つまらない人間に
ならなければならない

だとすれば
お取り寄せするのではなく
つたなくともじぶんの好きな時代を
現代と思い定めて
手直しして生き返らせればいい
と考えた

ああ わたしの現代は1930年ごろかなあ

わたしという古い名詞
が詩人達によって
覆された宝石のように輝きを放った1930年代

左川ちかは
純粋な思惟
と書いた
純粋な思惟!
純粋なものへの憧憬と美のために私はこれらの詩を書いた
と中村千尾は堂々と言った

いたましくも美しい
そんな時代

消えゆく
孤独な百年
わたしの現代



(2022/12/26)


戻る   Point(7)