祭祀クーラスとフランキス(二)/朧月夜
 
「それが、クーラス様。思わぬ邪魔が入ったのです。
 戦士エイソスの邸宅には、エインスベルがおりました」
「なんだと?」クーラスが顔色を変える。
「あれは、リーリンディア監獄に幽閉されているはず……」

「それが、内通者がいた模様なのです。そして、
 エインスベルは小さな魔法石を所有していました」
「虹の魔法石は、すべての魔力を無効化するはず。
 エインスベルに魔術が使えるわけがないが……」

「しかし、事実は事実です。エインスベルは、今巷間にいます」
「奴め、裁判の期日を知って、それに合わせて脱出したのか?」
「そうではありますまい。彼女にとっても、期限ぎりぎりだったのです」

祭祀クーラスは、ひたすら歯噛みした。それは、予想が外れたからではない。
すべてが彼の予想通りに、進行してしまったからである。
「では、イリアスはどうだ? イリアスを攫うことは出来たのか?」
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