自由形のパレード/ホロウ・シカエルボク
る瞬間、そんな瞬間を思うことは無理な気がした、そもそもあまり意味のあるものに思えないような気さえした、にもかかわらず、その言葉は指に刺さった木くずみたいにしばらくの間俺の感情を刺激し続けた、もしかしたらいつか、そんな感覚を理解出来るときが来るのかもしれない、俺はブランケットからようやく脱出する、思考が渦を巻く夜に大人しく眠ることなど到底不可能なのだ、薬物中毒者のように部屋を飛び出して外を歩いた、あの時と同じように高く、遠く、果てしない空はそこに在った、ああ、変わらないのだ、俺は安堵した、そうしたら欠伸が出た、つくづく俺はまともじゃない、夜はまだ続くだろう、彷徨いもまだしばらくは終わらない、こんな夜だからただいつもよりもくっきりと見えているだけのことなのさ、俺はふらふらと、暗い方へ暗い方へと歩き出す、いつもそうだ、俺を突き動かすのはそんな、漠然としたわけのわからないイメージみたいなものなのさ…。
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