ペガッサ星人(ウルトラセブン)/角田寿星
もういちど やつに逢いたいな
モロボシ・ダンは確かにそう呟いた
ウルトラセブン……うん 名前だけは知ってる
ヒラメさんにもういちど逢って
彼は ウルトラセブンはどうするつもりだったのか
なにもない もう なにもないよ
眼をとじたヒラメさんは
少し消えそうになって応えた
はじまりは
ちいさな食い違いだった
いつのまにか軌道修正が不可能になり
互いに致命的な衝突が
避けられなくなった
無駄になってしまった葛藤や駆け引き
突然の機能全面停止
ペガッサ星のすべてが
失われた
間接照明の向こう側に
限りなくうすい影がいくつもに伸びて
鏡のなかのようにゆらゆらと輪郭がうごく
おやすみ。
今日も なにもない一日だった。
灯りを消す前に眼をとじる
眼の前のなにもかもが
ふっ と消える
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