ジャミラ(ウルトラマン)/角田寿星
惑星でした…
今度こそ
ほんとうの話をしよう
ジャミラは怪獣だった
一瞬の風が
ジャミラの耳を貫いたとしても
それはウルトラマンが決めた
ことだから
ウルトラマンの必殺技
ウルトラ水流になす術もなく
純白の躯体を泥と水によごして
のた打ちまわりながら
ジャミラは絶命した
苦悶に歪むジャミラの断末魔を
カメラは執拗に撮りつづけた
苦しみに苦しみ抜いて
死んでいったもの
それが ジャミラ
ジャミラはY市の外人墓地に眠っている
丘の斜面を振りかえれば
みなとみらいの国際会議場がよく視えた
世界平和会議で何が話し合われ
何を決議したのか
誰も知らないし
覚えてや しなかった
掻き散らされた棄てられた人びとの
怨嗟の声も復讐の心も
ほんとうの姿を
誰が語るだろうか
なにも言わず抱きしめることができたならば
なにも言えないくらいに
ずっと見つめ続けて
来たのならば
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