石の歳月/岡部淳太郎
 
この石がどれだけの歳月を過ごしてきたのか誰も知らない
私がどれだけの歳月を過ごしてきたのか
誰も知らないのと同じく――
誰も知らないままで時は流れて後方に追いやられ
私は体験を繰り返して石は記憶を溜めこむ
その無言の静かな硬さと頑なさ
それゆえの重さを思え
石も私も知られることのない孤独のなかで
ただ在りつづけることに耐えているのだ



(二〇二一年二月)
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