バラス山/ちぇりこ。
 
ンクリや金属の
建物の屍肉に植物が群がっている

真っ昼間だというのに
蛍が一匹
錆びた獣の隠し持つ
鋼鉄の爪の先にとまってるよ
その獣はね
人の気配や発破の音がしないので
もう目覚めることは無いんだ
なんて、か弱い光、蛍
ねぇ、きみは知っているの
夏の終わりには悲しみのうたが
バラバラになって落ちて来るのを
ぼくら夏に産み落とされた
頼りない力こぶ

(バラス、バラスト、バラス山
(捨て子にされた
(要らない子

その獣はね
発破の音で蘇生するんだ
だからぼくたち
夏の終わり
ありったけの火薬を持って
あの山の入口に立っていた
立ち入り禁止の
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