日光浴/そらの珊瑚
 
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい

川のほとりで
すすきが日光浴している

若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささやかな闘志をあたためている

年老いたすすきは
毛羽立った穂先を
くるっと丸ませていよいよ繭玉になる
その中に宿る魂はとても軽いのに
羽がないので飛んでいけない
本当の冬にむけて
どうやって死んでいこうかと思案している

お日さまの光にはあらがえない ただ浴びるだけ
薄いひなたに誰かの影
生きてきたように死んでいく
命の日光浴は続く

戻る   Point(9)