拝啓、浄土の炊飯器/福岡サク
は減少しました
草食のいきものの肉は旨いとの由
煮ても焼いても食えぬと評判だったわたしも
ちょっとは美味しくなりつつあるのでしょうか
さて フライパンがちりちり言い始めました
ここで再び最大火力 しばらくぢりぢり言わせます
はい消火 めしが炊けました おこげもあります
拝啓 浄土の炊飯器 きみの不在にも慣れました
この先おそらく後添えを迎えることは有りません
父母の棲む家を飛び出して きみと出逢って暮らした日々
来し方を振り返れば 置き忘れてきたもの たんと有る
けれどきみが居なくともわたしは ねぇ、ねぇ
ええ、めしを喰い 酒喰らい
なんとか今日も生きてます 敬具
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