星空学級/ちぇりこ。
 
理科の授業で実験のある時に限って
やたら目を輝かせていた小林くんは
セイタカアワダチソウの
蹂躙する広場で消息を絶った
缶けり鬼の高く蹴り上げられた缶は
とうとう落ちて来なかった
少し遅れて落ちてきた風が
広場の草草を揺らしている
陸上の生活に馴染めなかった
魚類の心臓のようにびくんびくんと
脈打つ草草の群れに混じって
揺れている吉田くんがいたので
小林くんはどこに居るのか訊ねてみた
吉田くんは揺れながら真上を指さす

健やかな子どもの膝の裏がわには
UFOの秘密の発着基地があって
しばしば寝相の悪い子どもは
窮屈な寝返りをうつようにして
とても小さな粒子にな
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