ガージェス・ノルディア(三)/朧月夜
アイソニアの騎士とヨランとは、指定された場所へと赴いた。
そこで待っていたのは、イリアスを攫ったガージェスである。
「ようこそ、騎士様。わたしは、あなたがお逃げになるのでは、
と思っておりましたよ」不敵で慇懃無礼な口調で、言う。
「実は、この神殿の地下室には秘密の部屋がありましてね、
イリアス嬢には、そこで待っていてもらっています」
「回りくどいことを言うな。お前の目的は、俺だろう」と、アイソニアの騎士。
「いかにもそうでございます。わたしは、あなたから妥協を引き出したいのです」
「それは、クールラントへ戻れということか? エインスベルを殺せということか?」
「いきなり、過激な発言をなさいますね。わたしがいつ、
あなたに暗殺者になってくれと頼みましたか?」
「会話はまだ始まったばかりだ。今からお前の言うことなど、想像がつくか!」
「結構な反応でございます。つまり、あなたはわたしとの会話を望んでいると?」
「そうだ。しかし、まずはイリアスを返してほしい」
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