帰郷/ひだかたけし
 
とおくのびていく
声、
ういういしくかなしい

静かさの相貌を帯び

わたしは失なわれた
ふるさとを想う

ふるえながらふるえながら

明日のことは
誰にもわからないから

ひびく深みへ
在ることの内へ

表層をすべり
表層をさいて

入っていく

悲しさも嬉しさも
心、揺らがせること
なく

初々しく哀しい静かさに

澄み、

この宵闇に

柔らかく柔らか、

帰郷する。



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