在ることの夜/ひだかたけし
 
肉の苦痛に、薬飲み続け
意識の乱れに、酒呑み続け

ええい、ええい!

すべては消え去っていく
すべては過ぎていく

無常を貫く一本の矢、
それだけを掴みたいのだ
そのための日々の営みだ

なにもない、
なんにもない、
ひろびろと海 
浜辺にねっころがり

もう一つの現実、
在ることわかっていた

あの日あの時に還っていく

反復される悪夢に目覚め、
ぽろぽろ剥離する眼前の在るモノ在るモノ
迫り一気に侵入する、意味欠いて

もう一つのリアル、
わかっている

  *

肉の苦痛に、薬飲み続け
意識の乱れに、酒呑み続け

今、

[次のページ]
戻る   Point(2)