在ることの夜/ひだかたけし
肉の苦痛に、薬飲み続け
意識の乱れに、酒呑み続け
ええい、ええい!
すべては消え去っていく
すべては過ぎていく
無常を貫く一本の矢、
それだけを掴みたいのだ
そのための日々の営みだ
なにもない、
なんにもない、
ひろびろと海
浜辺にねっころがり
もう一つの現実、
在ることわかっていた
あの日あの時に還っていく
反復される悪夢に目覚め、
ぽろぽろ剥離する眼前の在るモノ在るモノ
迫り一気に侵入する、意味欠いて
もう一つのリアル、
わかっている
*
肉の苦痛に、薬飲み続け
意識の乱れに、酒呑み続け
今、
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