囚われたイリアス(五)/朧月夜
 
「わたしに……女王になれと?」と、イリアス。
「今はまだ、その時ではありません。しかし、
 アイソニアの騎士がライランテ大陸を平定した後は、
 あなたはその女王になるのです」と、ガージェス。

「それこそ笑止な考えです。ライランテ大陸には、
 アースランテ、ラゴス、ファシブル、クールラント、
 それ以外にも多くの国があります。戦争では、
 それら国家を一つにまとめあげることなど出来ません」

イリアスは毅然としていた。十三歳とは思えない、果敢さである。
しかし、ガージェス・ノルディアは笑う。勝算に満ちた笑いだ。
「あなたはエインスベルという魔導士を知っていますか?

 彼女なしでは、クールラントという国は立ち行かないのですよ。
 そして、クールラントは改革、いや政変の時を迎えようとしている。
 わたしのしようとしていることなど、その傍流の傍流です」
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