詩の日めくり 二〇二二年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
てしまったからである。ビリヤードの玉を突き入れたのは男の古くからの知り合いだった。事故? 偶然? 殺人? それはわからない。

 6作目は、ロバート・シルヴァーバーグの「ホークスビル収容所」これは、サンリオSF文庫の『ベストSF1』に収められて読んだもので、傑作だった。政府が、反政府活動をしていた140人あまりの人間を、後期カンブリア紀の三葉虫のいる時代に送って、収容所に入れていたという設定のもの。

 7作目は、トーマス・M・ディッシュの「われらの数字」階段の数を数えることからはじまって、数字について思いをめぐらす主人公。中性子爆弾で人々は死んだ。生き残った彼は数字について思いをめぐらし
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