「罪と罰」その読書感想から/ただのみきや
 
フを握った誰かの雑念が
言葉のコートを着てうろつき回っている
通り魔か 強盗か
     いいや頭がわるいだけの正直者さ





ヒヨドリ

いつもひもじい
あの声は
威嚇か
哀願か
怒りか
悲しみか
裏返ってもう久しい
笑い声か
わかりはしないが
いっそかわろうか
己をだまし
人に見せるだけの
ことばを捨てて
ひもじい
ひもじいと
生きながら
餓鬼道へ落ちた
しなびたこころの
固い裏の皮を
切って
裂いて
血まみれの
ハサミ孕んだ
翼となって
あてもなく
さまよいながら
中空に
叫び続ける
眼差しの
幽鬼となって
いつまでも





ネス湖

雨音にとけるギター
小舟の綱を解き
わたしはわたしを遠ざかる

水面に跳ねるギター
風に飛ばされる手紙
霧だけまとったあなた



                  《2022年11月27日》











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