寄せてくる 返ってゆく そのはざまにすべてがあって あるいは そこに何も見つけられなくて 寄せてくる 返ってゆく その現象だけが いちまいの絵のように 無言で眺められていて
ここにあり あそこにもある やがて洗われる足下にも 海の向こうで 心臓の鼓動のようにその律動の みなもとにもある また ここにはなく そこにもない 離れたあらゆる場所に 同時にあって またないもの ありながら ない という その不可思議さのなかにこそあるもの