戦士エイソスとエインスベル(二)/朧月夜
 
エインスベルとリグナロスは、門番の前に進み出た。
門番たちの表情がこわばり、彼女たちを牽制する顔つきになった。
「どうにも反応が良くないようです……」
「魔導士(ウィザム)は嫌われているからな。仕方あるまい」

エインスベルは、表情を崩さずに門番たちに近づいていった。
「わたしはエインスベル。魔導士だ。あなた方に頼みたいことがある」
「なんだと? 魔導士(ウィザム)が、エイソス様に何の用か?」
「それなのだが……いささか自信がない」

エイスベルはそれでも、言葉を続ける。
「ある陰謀が、戦士エイソスの身に降りかかろうとしているのだ。
 ついては、彼が困難を防ぐ手助けをしたい」
 
門番たちは、顔を見合わせた。いかにも不信である、という表情である。
どうやら、下っ端の者たちは、エインスベルのことを知らないようだった。
そのことは好機でもあり、そうでなくもある。事態は面倒になりそうだった。
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