世界の行方(五)/朧月夜
 
「そうだな。転移魔法が使える場所へと、急ごう。
 わたしは、戦士エイソスの元へと向かう。彼は、
 今でも中立の姿勢を保っているに違いない。正義を信じているのだ。
 しかし、わたしにとって正義とは……」

「一度は国家の敵とされたあなたは、独自の道を歩まなければなりますまい。
 祭祀クーラスは、やがては滅ぼされなければいけないものです。
 その果てにあるのが、ライランテ大陸の統一なのか、それとも
 さらなる混沌なのか。わたしには分かりません。ただ……」

「わたしに託すと言うのか? わたしはそれほど大した存在ではない。
 身近な者すら、救えなかった者だ。わたしはカーガリンデに帰りたいと思う」
それは、エインスベルにとっては、珍しく弱気な言葉だった。

「エインスベル様。才能を持った者は、責任を果たさなければならないのです!」
「そうだな……」と、エインスベル。「わたしの才能か……」
(魔に落ちたわたしは、その魔のなかで最善を尽くさなければいけないのかも知れない)

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