世界の行方(四)/朧月夜
 
「ヨランよ、お前もわたしの敵になるのかもしれないぞ?」
アイソニアの騎士とヨランが立ち去った後、
エインスベルは独りごちた。それを、リグナロスだけが耳にする。
「エインスベル様……?」

リグナロスは、その時思わぬ疑念に駆られた。
(この方は、本当に世界を滅ぼすのではないか)と。
「エインスベル様。ヨラン殿とアイソニアの騎士様を信用しましょう。
 彼らは、必ずあなた様の助けになってくれます」
 
「そうだな。それを祈ろう。しかし、わたしが懸念しているのは、
 そのことではない。エランドルという男、彼はわたしを利用しようとしている。
 千のドラゴンか……次なるこの世の戦争は、修羅場となるであろう」
 
「それを防ぐための、あなた様ではございませんか」と、リグナロス。
「わたしには、その自信がないのだ。わたしは一介の魔導士に過ぎない」
「あなた様は、ヨースマルテ一の魔導士です。それなりの責任というものが、おありでしょう?」
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