詩の日めくり 二〇二二年七月一日─三十一日/田中宏輔
2作目は、ブライアン・W・オールディスの「不可視配給株式会社」ちょっとしたきっかけで、塩壺と胡椒壺をテーブルのうえから動かさないという賭けを主人公は男とした。主人公が死ぬまで66年間、二つの壺は動かされなかったかなという記述のあとで、じつは妻が毎日動かしていたということがわかる。SFテイストはまったくなく、またファンタジー要素もまったくない作品だけれど、ぼくはオールディスのこの作品が、この短篇傑作選『ファンタジーへの誘い』のなかで、いちばん好きだ。イギリス的なユーモアのある作品だと思っている。傑作だと思っている。
Amazon で、SF短篇アンソロジー『異邦からの眺め』を買った。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)