国境を越えた緊急医療外伝/板谷みきょう
 
なったのは
食堂で一緒になる通訳者の
朝鮮人だった

彼はかの大戦で樺太に徴用され
終戦後も帰還できなかった
と話していた

そんな戦争当時の
朝鮮人に対しての歴史も
知らなかったけれど

ボクは日本人として
申し訳ない気持ちで
一杯になってしまった

言葉を失ったボクの顔色を見て彼は
「貴方が気にすることではありません。」

一言そう言ってくれた

神経症レベルのロシア人女性が
帰国して久しいけれども

金さんも樺太で幸せに暮らしていて
欲しいといつも願っている
戻る   Point(2)