水の歌/塔野夏子
 
浮かび
   沈み
浮かび
   沈み
この水をゆくほどに
この水の歌を
光を 傷を感触するほどに
憧憬する
渇望する
この水の深奥を
この水の最涯を

(こうして強く冀(こいねが)っているのは
 わたし それとも水)

けれど
終わる
   すべてはやがて終わる
      けれど水はまたかたちを変えて
         いつかどこかで

出逢う

出逢うと
わたしはやわらかい小さな舟


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