反動/ホロウ・シカエルボク
無音の川の側に立っている、辺りは夜のように暗い、だが、夜なのかというとそうではない…なにか異常な理由があって、夜のような闇が演出されているという感じだ、根拠になるようなものはなにもない、ただ、そこに漂う空気の中に、人ならぬものの意図が感じられる、そんな風に言えばなんとなく想像も出来るだろうか…身を屈めて、流れの中にゆっくりと手を差し入れてみる、水の流れは速い…温度はなく、ただ、さらさらとした液体の感触が手のひらにその勢いを伝えるのみだ、立ち上がり、デニムパンツの腰の辺りで手を拭い、耳を澄ましてみる、川には音がない、それは最初にも言った、だが、それ以外の音はある、風が吹き、落葉がそれに煽られて裏
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