此処に独りで/
ひだかたけし
もう居ない
金星が見えたよ、
暮れゆく空の
透明な青に
輝き出で
それは確かな郷愁の刻印だ
僕はもう戻らない、
この独りの時に
苦痛と空虚と歓喜に留まり
僕はもう戻らない、
此処に静か佇み
此処で自らの外に出て
自らの深みを掘り進み
世界の響きに耳を澄まし
もどかしいおもいにかられながら、
懐かしい想いに包まれながら、
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