此処に独りで/ひだかたけし
金星が見えたよ、
暮れゆく空の
透明な青に
輝き出で
それは確かな遠さの刻印だ
燭台の
蝋燭の炎は
ゆらゆら揺れて
聖書は漆黒の闇に
白い枠組みに包まれ現れ
小松さん、覚えていますか?
僕ら中学生が過ごした那須の夏休みを
みんながわらいみんながれんたいした
奇跡のように歌い跳ねる自由な瞬間!
父は荒れ果て
生は意味を失い
穴が空いた彼女の心
ハローハロー
私は感じる、
在るもの在るもの響き合い
生の時間に繋がり浮き立ち
なんで俺を産みやがったんだ!
親を呪い怒り叫ぶ兄、
弟は不思議がり
森に導いたあの兄ちゃんは
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