錯雑/朧月夜
を浴びていない。わたしは、ざんばら髪の落ち武者のようになって、ただあてどなく精神の遍路を繰り返す。痛む頭は何も産み出しはしない。そのことに満足しているわけではない。ただ、悲しいのだ、淋しいのだ、そうして、どこかに逃げ道はないのかと、わたしは誰かに問いたい──(答えてくれる者など、あっただろうか?)。無常よ、わたしにもいつかそれが分かる時が来るのか? それは死の時ではないのか? 迷い、戸惑い、途方にくれている今のわたしが、新しい道をどこに見つけられるというのだろう。厄災の時は去った。今は、ただ焼け野原に立ち尽くしているわたしがいる。(救いの手を、誰かがわたしに差し伸べた)わたしはそれを振り払ってでも
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