南天鳥作務衣/
秋葉竹
月光が
いまだけ欠けてる満月の
空みあげれば南天の鳥
冬間近
さーって吹いてる夜風なら
月をレモンにみ立ててほほえむ
弱くって
からだがその身を揉みしだき
泣きたいくらいに温もりを乞う
手に入れて
いつのまにかに手の中で
とけて消えてる清き初雪
だと想う
生きてゆくのは南天の
作務衣を着たまま冬越すに似て
まっしろの
南天鳥の鳴き声が
無人の廃墟にただ堕ちてくる
一日を
陽気なフリして疲れた夜も
南天鳥は意地でも笑った
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