さやか/星染
 
良く似ている。

濃い闇が口を開けて、わたしたちを一度に塗りつぶす、そのするどい歯が何本も並んでいるのを目にするとき それが海だと気づくことができるのかもしれなかった。息のできない浮遊の中で、ああこれがほんとうに欲しかったものだったのねと、目を閉じる、ぎんいろの紙吹雪が、馬鹿馬鹿しいほどささやかな涙を、なかったものにして、無名の絵画のように嘘のような朝の白い空気を割いてわたしたちは、額を寄せている
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