詩の日めくり 二〇二二年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
名は『化石の森』だと、ずっと思っていた。子どものときから。父親は洋画好きのラテン音楽好きの海外文学好きのおしゃれなひとだった。ぼくは父親からの影響が強い。

 これが純文学の力か、と思ったのは、もう何年もまえに読んだ、ジョン・アップダイクの『走れウサギ』上下巻だった。はじめはだらしない主人公にまったくうんざりしていたのだけれど、上巻の途中から、進展が気になって仕方なかった。続篇が出版されているけれど、高額な値段がついていて買わなかった。いまネットで調べたら、400円から2000円くらいまでだったから、高額じゃなかったね。むかし、続きが読みたくてネットで調べたときには高額だった記憶がある。といっ
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