詩の日めくり 二〇二二年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
する時空間が異なるためだが、その時空間の壁が薄くなる。とうとう二人は出会う。

 8作目は、ウィリアム・テンの「クリスマス・プレゼント」二一六一年の未来から誤って現代に送ってこられたものがあった。人間製造機だった。それはスレガンダー人用のものだった。主人公は自分の複製をつくった。過ちを正すために未来からやってきた生命調節管理官は、偽物ではなく本物のほうを処理した。この作品は既読で、『世界SF全集32巻 世界のSF・現代編』で読んでいた。もう一度読んでみて、細部のつくりが緻密な作品であることを再認識した。ウィリアム・テンの短篇集は2冊とも読み返したが、おもしろいものではなかった。この作品は、二つ
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