詩の日めくり 二〇二二年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
いっぱい」


 1作目は、アーサー・C・クラークの「時間がいっぱい」主人公の男は女性依頼人に時間を止める腕輪を渡されて、国宝級の芸術品を盗むように頼まれる。主人公の男はそれを実行したが、芸術品を女に渡したあとにも、腕輪を返そうとしなかった。女は未来からきたのであった。女は主人公の男を許す。腕輪を外すと、男のいる世界が破滅するというか、破滅することになっていたからである。男は時間を止める腕輪をしているかぎり、安全だった。孤独に耐えながら、腕輪をはめたまま男は立ち尽くす。


二〇二二年五月十二日 「歪んだ家」


 2作目は、ロバート・A・ハインラインの「歪んだ家」『世界SF全集
[次のページ]
戻る   Point(12)