剥き出しの鉄を打ち鳴らす/ホロウ・シカエルボク
擦れた猿のような声でそいつは言う、俺は息を切らしながらどうしようもなくこみ上げる怒りに、叫びながら警備員を突き飛ばす、彼は悲鳴を上げながら開口部を落下していく、車のリフトに何度も何度もぶつかりながら…俺は尺取虫のように屋上に倒れ込む、少しだけ眠ろう、少しだけ眠れば季節はまた変わるかもしれない、少しだけ眠れば蝉だって産まれるかもしれない、貪欲な人間ほど頑丈に出来ているのだ…
冬が来る頃にはすべてを忘れることが出来るかもしれない。
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