彼女へ/秋葉竹
深夜、国道に落ちていた
焼きついた《絶望》を海に向かって投げた
海には少し怖いくらいの
重く暗い波の音しか
していなかった
ポチャン、
って
聴こえるかとも
期待した私が
少し恥ずかしいくらいに
海は泣いていた
生きてさえいれば
どんな苦しみも
笑って話せる
日が来ると
夢をみる
揺蕩う小舟はいつまでも
揺蕩いつづける気もするし
目的である人はもう
私と一緒ではいなくなる
揺蕩う心はいつまでも
消えずに降り積む小雪のよう
夜空を
みあげている
そこにも海はあるはずだから
それはさすらい
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