虹の魔法石(十二)/朧月夜
 
一つの答えの予兆だった。この世界は、クーラスに支配されてはならない。
もちろん、エランドルによってもだ。
エインスベルは、この世界を支配する者の存在を許さない。
人とは、自由であり、己が道を己で決めるべき存在なのだ。

エインスベルの見つめている、虹の魔法石は、
その内部に多すぎる力をため込んでいるようであった。
(間もなく、この魔法石は弾け飛ぶ……)と、エインスベルは思った。
そして、唇の端をにやりと歪ませる。

(わたしの勝ちだな)と、エインスベルは心のなかで思った。
台座の上で、虹の魔法石は徐々に膨張していく。エインスベルは、
ヨランが聞いたエランドルの言葉をすべて理解しているわけではなかった。

しかし、エインスベルはオスファハンの弟子である。彼には、
禁忌となるこの世の理をも教えられていた。「自由な世界よ、ここにあれ!」
と、エインスベルが言う。そして、台座の上の虹の魔法石がはじけ飛ぶ。
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