沈黙の森/ひだかたけし
 
白髪が
人差し指に
引っ掛かり

もつれる時、

深い森は唸りをあげ
不安定な内面を抉る、
汗ばむ手のひら
崩れる砕氷

青い天空は相変わらずに
その豊かな乳房を揺らし
通りすぎる白いセーターの女

森は揺動する、
均衡を欠いた内面に
剥き出される世界

死と生は絶えず入れ替わり、
歯軋りする太陽の輝きに、
モノというモノ、照らし出され

わたしは震えながら瞑目する

秋、

進み行き

秋、

過ぎ行き

深い森の沈黙、
私という存在











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