虹の魔法石(六)/朧月夜
「修道院だと? クーラス派のものか?」と、アイソニアの騎士。
「いいえ、もっと古い時代のものです。おそらくは、
魔導帝国アルスガルデが繁栄していたころに、作られたのでしょう」
「それは、大層な遺跡だな? クーラスは使いこなせているのか?」
「おそらく、無理でしょう。祭祀クーラスにとっても、
この監獄は諸刃の剣です。罪人たちを閉じ込めていくのには、丁度よい。
ですが、この内部にいる罪人たちに、クーラスも手出しは出来ないのです。
なぜなら、ここでは全ての魔力が無力化されるです。暗殺など、出来ません」
「なるほど、それでエインスベルは正式な裁判を待つことになったのか」
この旅に出て初めて、アイソニアの騎士は納得できる結論を得たようだった。
「それよりも、騎士様。騎士様。それ以外の囚人たちが起きてきませんか?」
時は夜──である。看守も囚人も寝静まっている。「その心配は必要あるまい」
エインスベルたちは、真っ暗な階段を下りていく。わずかな蝋燭の灯り。
「ここか? 古(いにしえ)の信教の舞台は?」エインスベルが呟いた。
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