虹の魔法石(五)/朧月夜
 
「そうなのです。わたしも、エランドル様にそのことを言いました。
 ですが、彼はさらに高いものを目指しているようです。
 世界の再編です……」そう言うヨランの言葉は、震えていた。
彼が素人ながらに使った魔術について、思いを巡らせていたのである。

「なるほど、そなたの話を聞くと、この魔法石も安全なものではあるまい。
 大方、次なる野望のために、わたしに託されたものだろう。
 しかし、エランドルやクーラスの好きにはさせない。
 先を急ごう、ヨラン、アイソニアの騎士、リグナロス」
 
エインスベルは、四人の先頭に立って歩き始めた。
「おい、リグナロス。この監獄の秘密は、どこに隠されているのか。
 この監獄には虹の魔法石が隠されていると、ヨランから聞いた」

アイソニアの騎士がそう言うのに対して、リグナロスも毅然と答える。
「おそらく、地階でしょう。地階には壮大な空間があり、かつてはこの監獄が、
 修道院であったことを思わされるものになっているのです」
[グループ]
戻る   Point(1)